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、 2017年6月25日 (日) 11:37
「どすこいかわうそルームの裏に、何があるというのじゃ? それにお前が花束とは珍しいのう」<br />
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「そうだったな、ここをスザクに語ったことは今までなかったな…」<br />
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スザクの素朴な疑問に曖昧な解答をして、再び思慮の中に迷い込んだ。<br />
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(こんなことをした俺を…そしてそのことを今の今までひた隠しにしてきた俺を……スザクはどう思うだろう?)<br />
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後悔とはよく言ったものだ。というよく使われる言い回しを頭のなかでこねくり回しながら、答えなどわからない問いを考えていた。<br />
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(いつかは語らなければ、許しを請うことすらできないんだ。だから今、二人でここに足を運んでいるんだ。)<br />
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「コマンダー…?」<br />
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「あぁ、すまん。物思いに耽っていた…ここに何があるかだな。」<br />
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スザクの呼びかけで、思慮の中から引きずり出され、話そうと決意する。<br />
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「ここは…コンソーシアムの為に犠牲になった人々の、慰霊碑だ。」<br />
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「非公式の?」「あぁ」<br />
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「非公式の慰霊碑か…まったく見当がつかんのじゃ。」<br />
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「コンソーシアムの為に、コンソーシアムが生まれる前に犠牲になった人々の慰霊碑だ。」<br />
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「ほう…」<br />
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「Ωコーポレーションを成り立たせるための元本はどこから出てきたと思う?」<br />
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「資料じゃと…お前が全ての開始資金を出したとなっとるのじゃが…そこの出処の話なのじゃ?」<br />
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「俺は裕福な所の出身でも、商才があるわけでもなかった。だから、好き嫌いせずに金になる仕事をひたすら受けるしか無かった。」<br />
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「金になる仕事となると…命の危機が訪れるような仕事じゃな。大変だったろう?」<br />
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「大変なのは大変だったが…自分の命は正直どうでもよかった…というより死ねば終わりだ。だが引けなかった、だから考えないようにした…それより…」<br />
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当時の事を思い出す…静かな場所に佇む豪邸を爆薬で賑やかにし、慌てる警備員を一人ひとり確実に仕留め、邸内に侵入する。血まみれの夫、子供を抱え命乞いをする妻、泣いて逃れようとする子供…<br />
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足がかりになりかねない以上殺すしか無かった…そういう依頼だった…<br />
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「それより、罪のない人を…女子供も…依頼に含まれているなら容赦なく殺した…金のために。」<br />
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「……」<br />
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「時間が限られていた…そういう仕事をこなさなければ今のコンソーシアムが無かった事は明らかだ。」<br />
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「それでも…いくら純白の正義で塗り重ねようと…叱責の念が…死者の呪いのように…いつまでも俺から安息の夜を奪う。」<br />
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「だがコンソーシアムにこんな漆黒の経歴を突如として告知すれば…このコンソーシアムの幻想は崩れ去るだろう…」<br />
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「だから…」「だから…」<br />
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スザクが遮るように声を重ねる。<br />
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「己の心に、お前だけの漆黒の経歴として、この地に秘めていたと。」<br />
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「そうだな…」<br />
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これ以上語ることはない、後はスザクがどう感じるかだ。<br />
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「まったく、どうしようもない奴じゃの。」<br />
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次の言葉を待った。スザクはしばらくして、口を開いた。<br />
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「何年ともに戦ってきたと思っておるのじゃ」<br />
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「お前がどんな経歴だろうと、何年ひた隠しにしてこようと、この事実は揺るがない、そうじゃろ?」<br />
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言葉もなく、静かに頷く。<br />
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「我はそれだけで十分じゃ。」<br />
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声もなく、涙を流す。<br />
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今更になって、自分の愚かさが具現化してくる。<br />
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自分がなんと器の小さな人間だったか。<br />
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「我からのお願いは二つじゃ。」<br />
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「まず、その花束を分けてくれ、我もお供えをしておきたい。」<br />
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静かに、花束を分け、渡す。<br />
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「次に、」<br />
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一呼吸の沈黙があった。<br />
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「次回から、ここに来る時は、我にも声をかけてくれ。」