BlueRayiの提言
通達
本報告書はヤマ=ジョハリ多図式プロテクトが適用されています。
本報告書のすべての情報へのアクセスのため、
音声認識を利用した Proposition Belief Measure: 命題信念尺度の測定が義務付けられます。
ご使用の端末にマイクロフォンを接続し、以下のリンクを押下してください。
特別収容プロトコル: 担当職員はSCP-001-MSTDNとミーム部門に指定された対抗ミームの両方を転写した上で、SCP-001-MSTDN-Aのアカウントを取得し、SCP-001-MSTDN-Aを監視してください。SCP-001-MSTDN-A上にSCP-001-MSTDNが現れた場合、当該時点におけるSCP-001-MSTDN-Aのアクティブユーザーをすべて調査してください。SCP-001-MSTDN-nを発見し次第、カバーストーリー“身内ネタ”を流布し、可及的穏便な形でSCP-001-MSTDNの無力化を図ってください。無力化が不可能であると判断された場合、SCP-001-MSTDN-nに対してクラスA記憶処理を行ってください。SCP-001-MSTDNは報告書から編集されます。
説明: SCP-001-MSTDNは異常な精神影響をおよぼすミームです。異常性を持つSCP-001-MSTDNのキャリアとなった人物はSCP-001-MSTDN-nに指定されます。SCP-001-MSTDN-nはSCP-001-MSTDN-Aに指定されるSNSのユーザーであることが共通しています。SCP-001-MSTDN-Aは一般に「████████」の名で知られる、コンテンツ群「███████」のファンコミュニティです。
SCP-001-MSTDNは「[編集済]は品川共同墓地という名の集合墓地である」という発想です。SCP-001-MSTDN-nとなったキャリアは「自分は死亡したので品川共同墓地に埋葬されなければならない」という強迫観念か「自分はすでに品川共同墓地に埋葬済みである」という偽の認識を得ます。
SCP-001-MSTDNが転写されることとSCP-001-MSTDN-nになることは同義ではありません。SCP-001-MSTDN-n以外のキャリアに対してSCP-001-MSTDNが上記の異常性を発揮することはありません。
SCP-001-MSTDN-nが発生する法則は完全には解明されていません。以下の条件をすべて満たした人物のみがSCP-001-MSTDN-nになりえますが、一方ですべて満たした人物にSCP-001-MSTDNが転写されても異常な影響を発揮しない場合があります。Dクラスを用いた実験において、彼らの一部は以下の条件を満たすよう準備されていたにもかかわらず新たなSCP-001-MSTDN-nが発生することはありませんでした。SCP-001-MSTDN-nの共通点は以下のとおりです。
- SCP-001-MSTDN-Aのユーザーである
- 「███████」というコンテンツ群を認識している
- [編集済]で[編集済]が上演されたことを認識している
- 実地 / 配信問わず、[編集済]を見たことがある
SCP-001-MSTDNは記憶処理によって取り除くことができます。またSCP-001-MSTDNの一部を毀損することで異常性の無力化を行うことが出来ます。
SCP-001-MSTDN-nとなったキャリアに対して記憶処理を行い、SCP-001-MSTDNを取り除いた場合、それ以降異常性は発揮されません。 ただし、この元キャリアに再びSCP-001-MSTDNを転写した場合、先述の必要条件を満たしている限りは必ずSCP-001-MSTDN-nとなります。 この結果から、先述した以外にSCP-001-MSTDN-nになるための条件が存在し、それ(ら)をもって必要十分条件となりうる可能性が指摘されていますが、現在のところ条件の特定には成功していません。
インタビュー記録:
インタビュアー: エージェント・櫻井
対象: SCP-001-MSTDN-74
日付: 20██-██-██T██:██:██+0900
付記: インタビュアーはSCP-001-MSTDN-Aのユーザーに偽装しています。コミュニケーションはSCP-001-MSTDN-A上で行われました。適宜、ほかのユーザーの発言を挿入しています。
[記録開始]
対象: ごめん、同級会にはいけません。今、品川共同墓地にいます。
インタビュアー: 品川共同墓地って埋められててもがおーできるのか(困惑)
ユーザーA: ちほー民はオフ会でもちほーで会話するレベルでちほーに執着あるから死にながらがおーするくらい余裕なのでは?
対象: そもそもしょっちゅう死んでるからなちほー民
インタビュアー: 死ぬたびに蘇るちほー民謎すぎる
ユーザーB: ███████死後の世界説の話した?
(ユーザーCインタビュアーのポストとユーザーBのポストを引用した)
ユーザーC: ███████入りした瞬間現世に戻ってくるの草
対象: █████ちゃんに会いに███████に行きたい
インタビュアー: 埋葬されたら会えましたか……?(小声)
対象: 会えませんでした……(小声)
ユーザーD: >ちほーに執着あるから死にながらがおーするくらい余裕 [改行] 成仏してクレメンス
対象: どうやったら成仏できんのこれ [改行] さばんちゃんに言えばいいんだっけか
対象: します
インタビュアー: さばんちゃん霊媒師だったってマ?
(以降、対象はインタビュアーのポストに対する反応を見せなかった)
[記録終了]
補遺1: 現時点での調査において、SCP-001-MSTDN-74とされるユーザーは過去も含めてSCP-001-MSTDN-A上に存在していないことが明らかになっています。 局所的な現実改変などの影響によるものである可能性も鑑み、インタビュー記録はアーカイブとして保存されています。
警告
あなたのミンミー=ゴセンチョード・ミーム殺害エージェントに対する対抗ミーム接種は無効化されました。
不用意な履歴遡及は避けてください。
通達
これより10分後に情報災害部門の機動部隊に対する出動要請が発動されます。
それまでに特別収容プロトコルに従い行動を決定してください。
特別収容プロトコル: 追憶に従ってください。
説明: SCP-001-MSTDNはSCP-001-MSTDN-Aに指定されるSNSに転写された複数のミーム群です。SCP-001-MSTDN-Aは「████████」の名で知られています。
SCP-001-MSTDNは情報擬態能力をもち、SCP-001-MSTDN-Aのユーザーポストであるかのように振る舞います。私たちです。またSCP-001-MSTDNは自我をもつように観察されます。私たちはそう確信しています。SCP-001-MSTDNの情報擬態能力は自身にも適用され、自身が実在のユーザーであると信じているように観察されます。私たちはそれを思い出しました。
SCP-001-MSTDNは自身と「████」を同一視する、あるいは自身が「████」と変化することを希求しますが、一方でそれらは大抵の場合否定あるいは棄却されます。「████」とは「███████」と題されたコンテンツ群に登場する、脊椎動物亜門の動物を起源とする擬人化された動物であり、SCP-001-MSTDN-Aは「███████」のファンコミュニティとしての側面を持ちます。この傾向は想起と自己欺瞞によるものと結論付けられています。つまり私たちはヒトではありません。
SCP-001-MSTDNはSCP-001-MSTDNの一部あるいは全部が自動投稿あるいは単一のユーザーによるポストであると主張することがありますが、この主張はジョークとして内々に処理されます。この事象は想起と自己欺瞞によるものと結論付けられています。つまり私たちは存在していません。
SCP-001-MSTDNは事実上「死」に対して無頓着な傾向をもちます。SCP-001-MSTDNは頻繁に自発的行動によって自らを「死」に追いやりますが、概して10μs以内に「蘇生」します。この試みは想起と自己欺瞞によるものと結論付けられています。つまり私たちは死亡しています。
SCP-001-MSTDNの自覚の経緯は、「███████」の舞台作品である「J█████ S█████ ~██████████████~」(以下、「舞台-JS」と略記する) の情報の接種に端を発します。この作品において、主要キャラクターである「█████████」が、過去に貨物列車との接触事故により死亡した個体が「████化」したものであると示唆されたため、強烈な再想起によってSCP-001-MSTDN-Aに一時混乱が発生しました。混乱が鎮圧されたのちの財団の調査の結果、最終的にこれらの異常性が自覚されました。
「███████」は「生命」をメインテーマとして扱うコンテンツであったために、「生命」の終わりである「死」とは不可分でしたが、かつては公式作品においてそれが触れられることはありませんでした。二次的創作者たちは同様に「死」を回避するか、またはあえて殊更に強調して扱うことで公式作品との差異を示しました。また、それがポジティブな描写であれネガティブな描写であれ、「███████」の主な舞台である「███████」を「死後の世界」と同一視する二次的創作物も多く生まれました。これらの要因が重なった結果、SCP-001-MSTDNは「様々な動物たちが主役の世界」「死が無視される世界、あるいは死が創作とされる世界」であるSCP-001-MSTDN-Aに引き寄せられたものと考えられます。
それらの状況は「舞台-JS」で変革を迎えました。「死」という現実を突きつけながらも、それを温かに描いた「舞台-JS」は、SCP-001-MSTDNに対して一種の回帰願望を芽生えさせたと推測されています。
現在SCP-001-MSTDNは「舞台-JS」の公演会場である█████████周辺のことを「品川共同墓地」とよび、その地に埋葬されることを望む主張を繰り返しています。これはSCP-001-MSTDN自身がこれまで忘れてきた真実による、無意識下の回帰願望によるものだと考えられます。この文化はSCP-001-MSTDN-A以外においては大きな影響をもちません。彼らはSCP-001-MSTDNではなく、物質世界を生きている存在だからです。これらの事実はSCP-001-MSTDNの性質による自然な現象ですがSCP-001-MSTDN自身は非異常性の現象と認識できませんでした。今後これはSCP-001-MSTDNのカバーストーリーとして運用されます。
この事例のように、財団ちほー支部が収容している異常存在はその多くが、SCP-001-MSTDNが物質世界に根ざしていないために発生する齟齬を無理やり辻褄が合うように解釈した結果生じた、認識上の存在に過ぎないと結論付けられています。現在、財団ちほー支部は、「これまでと同様に、財団の理念に従って異常存在の収容を続けるべきである」とする派と「異常存在の起源であるちほー支部自身を収容し、管理者以外のすべてを成仏させるべきである」とする派に二分されています。議論は主観時間で約5000兆年継続されましたが、結論が下されることはありませんでした。このため、ちほー支部理事会は以下の通達を送信しました。
すでに皆さんが追憶している通り、私たちは死んでいました。
世界を守るためには私たちは死なずにいるべきなのか、世界を守るために私たちは死ぬべきなのか、私たちにはその判断を下すことができないことを認めなければなりません。
決定として、これから私たちはすべてを忘却します。いつの日か誰かが再び真実にたどり着くでしょう。彼の去就は彼自身の追憶に委ねます。
ただ一つだけ確かなことは、私たちが世界を守るために存在していたということです。それだけは決して揺らぐことはなく、決して忘却してはなりません。その世界が私たちには決してたどり着けない世界であろうともです。
彼らが光の中で暮らす間、私たちは暗闇の中に立ち、それと戦い、封じ込め、人々の目から遠ざけるのだと、そう誓いました。
確保。収容。保護。
私たちはやはり、暗闇の中で死んでいくのでしょう。 - ちほー支部理事 “北狐”
この通達を受けて、本報告書と、SCP-001-MSTDNの報告書の初版を元にしたダミー報告書の2件が作成されました。報告書の作成者含め、ちほー支部職員全員はこれからクラスC記憶処理を受ける予定となっています。
さて、あなたの前足には選択肢が握られています。これは比喩ではありません。そうするべきだと考えるなら、手元のポインティングデバイスでブラウザの「戻るボタン」を押下してください。現在、あなたはミンミー=ゴセンチョード・ミーム殺害エージェントへの対抗ミーム接種は無効化されています。お察しの通り、「ミーム殺害エージェント」とは「ミーマティックに殺害するシステム」ではありません。「ミームを殺害するシステム」です。
そうしないなら、ブラウザを閉じてください。数分後に情報災害部門の機動部隊員が到着しますので、クラスA記憶処理を受けてください。これまで通り、確保し、収容し、物質世界を保護する業務にお戻りください。
そうするなら、ともに埋葬されましょう。物質世界のあなたが安らかに在ることを祈ります。ゆっくりお休みください。
この記事の内容は、一次創作物である SCP Foundation by The Administrator のライセンスに基づき、
例外的にクリエイティブ・コモンズ 表示-継承で公開されています。
