アミバとは、悲劇の男である。
概要
元南斗聖拳の修練者であり、北斗神拳の非正統の使い手。
自身をどんな拳法でも誰よりも早く習得できる「天才」だと称する。しかし、どこからも奥義を授けられることはなく、トキの評判を落すため、彼に変装して悪事を行っていた。
自分が天才であることを誇示する、その自信過剰な性格をうかがわせる台詞を多数発しており、最期まで自分を「天才」と信じて疑わなかった。
真実
……というのが劇中での彼である。
世紀末の時代において例に漏れず極悪人であった彼だが、その実態は悲劇の男そのものなのである。
なぜ彼が悲劇の男なのか……
それは、彼が「本来は存在しなかったキャラ」であるからだ。
わかりやすく言えば、途中から急遽作り出されたキャラなのである。
更に言ってしまえば、連載中に「トキの前に何かあったほうがいい」と考えてアミバを作ったとかそういうレベルではない。
アミバは当初、トキそのものだったのである。
拉致した人間を新秘孔発見のための人体実験に使うなど、作中においてもなかなかの極悪な行為であるが、この所業のすべてはトキのものだったのである。ゲームでのトキを見ている方にとっては驚くことでもないかもしれないが。
つまり当初は、ジャギやラオウだけでなく、あのトキまでもが悪に染まってしまったという設定だったのだ。
しかし連鎖中、ある問題が起こる。それは、トキ戦に入る前のケンシロウの回想シーンでのトキに、予想以上の人気が出てしまったことである。
もちろん、その反響まで含めた闇堕ちの構想だったのかもしれない。しかし、原作者や編集者の間でも「このままトキを殺してしまっていいのだろうか」という疑問が浮かんできていた。
結果、「トキは闇堕ちせずに今もなお聖者である」という設定になったのだ。聖人トキがいなければ、北斗の拳における数々の名シーンはなかったことだろう。この変更が「北斗の拳」を後世にまで残る名作にしたのである。
しかし、この変更が企画されたとき、すでに話は結構進んでしまっていたのである。
具体的に言えば、ケンシロウが「こ、この技のキレは…(たしかにトキ!!!)」と言うところあたり、つまりすでに戦っている最中なのである。
変更はしたい、だがすでにトキは出てしまっている。そこで誰かが気づいたのだろう。
「トキではなくトキになりすます悪人という設定にしてはどうだろうか」と。
そう、そこで生み出されたのがアミバなのである。
もちろん、トキになりすますにはそれ相応の動機も必要であろう。
アミバの「トキに私怨を抱く、自分を天才だと思い込んでいる一般人」的な設定はこのとき決まったのである。